「もめるはずはない」「遺産はあまりないから大丈夫」「相続税を払うのは一部の富裕層だけ」
多くの人がこのように思いがちですが、この考えには大きな落とし穴となります。
いまはお互いに仲が良くても、たとえ財産が少なくても、それぞれが家庭を持ったりしてお金が必要になると「もらえるものはもらいたい」と争いになるケースが大変多いのです。
相続財産が無いという場合でも、他の相続人から「あったかもしれない」と言われてもめることも良くあります。
特に会社を経営されていたり不動産をお持ちの方は注意が必要です。
また、相続税についても近年の大幅な税制改正により誰もが「相続税をいかに抑えるか」考えなくてはいけなくなっています。
当事務所において、遺産分割に関する相談の中で最も多いものが下記の3つです。
・遺産分割手続:例)「遺産の分割・手続の方法が分からない」「相続人同士で話がまとまらない」
・遺留分侵害額請求:例)「兄弟に遺産をすべて持っていかれてしまった」「公平に分割してほしい」
・遺言書作成:例)「財産を特別に残したい人がいる」「遺言の書き方や遺産の分け方を教えて欲しい」
~遺産分割の方法~
遺言書がある場合、遺言書の内容による遺産分割が行われます。
遺言書がない場合、まずは相続人の間で遺産分割協議が行われます。
協議がまとまらない場合、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てることが可能になります。
それでも調停が不調に終わった場合、今度は家庭裁判所での遺産分割審判に移ることになります。
それでも納得しなければ、高等裁判所へ不服を申し立てることとなり,訴訟となります。
~遺産分割でよくトラブルになる原因~
遺産分割を行う上でよくトラブルの原因となるものが「寄与分」です。「親の面倒を見ていたから他の相続人よりも多くもらいたい」「兄弟姉妹が親から住宅や教育資金を援助してもらっていた」などがこの寄与分に関するトラブルです。
これに関しては,たいていの不動産やまとまった額の資金援助は例外なく相続分の前渡し(特別受益)とみなされ、相続分から差し引かれる一方、「親の面倒を見た」くらいでは、相続分の増額に繋がらないことが多いようです。
遺留分とは、最低限の相続財産を得られる割合のことで、被相続人の兄弟姉妹以外に認められています。
この権利を侵害する相続人に対して、戻すように請求するのが遺留分侵害額請求です。
遺留分侵害を知った日から1年、相続の日から10年以内なら訴えを起こすことができます。
「兄弟姉妹で相続内容に合意していたのに、新たに持ち分を請求してきた」「被相続人の残した遺言書に愛人に全てを相続させると書いてあった」などで揉めることが多いです。
遺言書を作成することは相続争いを避ける最も有効な手段です。
きちんと作成すれば、後々のトラブルを防ぐことができます。
また、最近では、判断能力がしっかりしているうちに自分の資産の処分方法を決めておくことが重要とされています。
遺言書の書き方は民法で厳密に定められており、ただ書きたいことだけを書いても無効となってしまうことがあるので注意が必要です。
また、その内容によっては争いをさらに大きくしかねません。
以下に遺言書の内容について、よくあるトラブルをまとめました。
・遺言書の内容が現状と異なる。
→(例)遺言が書かれてから月日がたち、預金を生活のために消費していたため、遺言に書かれている預金残高と実際の遺産分割時の残高が異なり、分け方について争いになってしまった。
・遺留分を考慮しないで書かれている。
→(例)親の面倒を見てくれた兄弟姉妹に全てを相続させると書いてあったが、他の兄弟姉妹が遺留分を主張してきた。
相続の仕方、生前贈与(被相続人が生きているうちに贈与ができる制度)などの税額軽減制度の利用の仕方次第で、税額に数百万円もの差が差が生まれることが多々あります。
当事務所では税理士と協力して、最も理想的な相続をご提案します。
・ 親が亡くなったが借金が多く、相続したくない。
・ 疎遠な親戚の相続人となったが、ずっと疎遠であったので状況が全く分からず、あまり関わりたくない。
上記のような場合には相続放棄という方法が有効です。
相続放棄をした人は、その相続に関しては最初から相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。
相続放棄の手続は家庭裁判所に申述という手続をしなければなりません。
もっとも、相続放棄したくても、被相続人(亡くなった方)の財産を処分するなどしていた場合には相続を承認したものとみなされてしまいますので注意が必要です(民法921条)。
一方で、相続放棄をしたとしても、放棄によって相続人となった人が相続財産の管理を始めることができるまでは一定の注意をもって管理をしなければなりません(民法940条)。
被相続人の財産についてどうしてよいか迷ったら、すぐに弁護士にご相談ください。
詳しくは以下の相続放棄のページをご覧ください。
相続人の方がいらっしゃらない場合、経営者などでない限り、あまりご自身の死後のことをお考えになる事は無いかもしれません。
しかし、少しでも財産がある場合には、遺言を作成しておけば、遺された財産をご自身の意向に従って有効に活用することができます。
最も多いのは、お世話になった方や、社会的な活動をする団体に寄付を希望されるケースです。
盲導犬協会や、ユニセフなどの国際機関への寄付をお考えの方もいらっしゃると思います。
また、ご自身が不動産をお持ちの場合などには,その処理も考えなければなりません。
相続人がいない場合、財産があるにもかかわらず遺言を作成していなければ、相続財産管理人が選任された後に最終的には国が財産を取得することになります。
(なお、特別縁故者がいる場合はその方が財産の一部もしくは全部を取得する可能性があります。)
死後の処理を弁護士にきちんと任せたいという方はもちろん、ご自身がどうすべきかよくわからない、まずは弁護士と話をしてみたいという方は、まずは当事務所までご相談いただければと思います。
現在、終末期医療のあり方を巡って問題になることが多くなってきています。
現在の日本においては、終末期において患者が自分の意思を実現できるような法律上の仕組みは不十分といわざるを得ません。
終末期の医療の選択においては、本来は本人の意思が尊重されるべきではありますが、終末期においては患者自身に意識がなかったり,判断能力がなかったりする場合が多く、医師や家族の判断に任せられるというのが現状です。
病気の状況に合わせてどのような治療を受けるのか、逆にどのような治療は受けたくないのか、あらかじめ意思表明をしておくことの必要性があるにもかかわらず、いまだに社会的な理解はされておらず、普及もされていません。
この様な状況の中、ご自身の終末期医療に対する意思表明(リビングウィル)をする手段として、尊厳死宣言公正証書を作成するという方法があります。
まずはどのようなものなのか知りたい、専門家である弁護士と話をしてみたいという方は、当事務所までご連絡いただければと思います。